喫煙は、昭和から平成にかけて、さまざまな場所で可能でした。バスや飛行機などの交通機関や自分の車などでタバコを吸うのは当たり前だったといえます。
しかし、受動喫煙による悪影響によって、徐々に喫煙者数が減少。近年では全国各地で「受動喫煙防止条例」が成立し、防止を義務化するところも増えています。
この社会問題とされている受動喫煙には、一体どのような悪影響があるのでしょうか?
タバコの成分
タバコは、主流煙・副流煙共にガス成分は96.7%で、一酸化窒素・二酸化炭素・その他無機物質が含まれます。また、粒子成分は 3.3%で、タール・ニコチンが含まれます。
空気清浄機で除去できるのはタバコの臭いと粒子成分のみで、有害物質を含むガス成分はほとんど除去できません。粒子成分であるニコチンも95%はガス化しています。
そして、このタバコの煙からは約4,000種以上の化学物質が発見され、そのうち有害であるとされている化学物質は200種を超えています。さらにその中で発がん性が認められているものは40種あるとされています。発生する各種有害物質は主流煙よりも副流煙のほうに多く含まれます。
※下記の数字は主流煙に対して副流煙の割合です。
カドミウム3.6倍 一酸化炭素4.7倍 ベンツビレン3.7倍 タール3.4倍 べンゼン10倍 ニトロソアミン52倍 アンモニア46倍 ニコチン2.8倍 窒素酸化物3.6倍 ホルムアルデヒド50倍
主流煙は酸性(pH6前後)ですが副流煙はアルカリ性(pH9前後)のため目や鼻の粘膜を刺激します。
タバコの煙が身体の中を通るのは、口・鼻・のど・肺までですが煙の中にタールも含まれています。このタールが肺に付着し肺を汚します。そのタールに含まれている物質は、血液の中に入り、身体の隅々に運ばれて行きます。これにより様々なな病気の元となるとされています。
受動喫煙が呼吸器系に与える急性・慢性の影響
他人のタバコの煙を吸い込むことを、受動喫煙と呼びますが、小児や慢性的にタバコの煙にさらされている人では時に重大な被害をもたらすことがわかっています。
受動喫煙は、成人の慢性呼吸器疾患に罹患するリスクを25 %、小児の急性呼吸器疾患に罹患するリスクを50 ~100 %も増加させます。また、受動喫煙により肺がんのリスクが高まるといわれています。
喫煙者の両親をもつ子供は呼吸器疾患にかかるリスクが高く、子どもの接する時間の長い母親の喫煙のほうが父親の喫煙より影響が大きいのは当然ですが、影響が小さい父親の喫煙でさえ、子供の呼吸器病発症のリスクを有意に増加させます。このような子供では、急性や慢性の中耳疾患のリスクも高くなります。
急性の影響
咳、痰などの症状 息切れ のどの痛み 呼吸不全 血圧上昇 心拍数増加 抹消血管収縮 循環障害
慢性の影響
風邪症候群 慢性気管支喘息 喘息 慢性呼吸不全 アレルギー性鼻炎
慢性鼻炎 扁桃炎 COPD 肺気腫 肺炎 肺結核 肺がん 自然気胸、呼吸器感染症