輸入オレンジやグレープフルーツから危険な農薬検出 ―厚生省食品添加物として次々認可

投稿日:

 

 

スーパーマーケットの果物売り場に行くと、オレンジ、レモン、グレープフルーツ、ライム、スウィーティなどの柑橘類が多く陳列されています。これらのほとんどは、アメリカ、オーストラリア、メキシコ、イスラエルなどの海外から輸入されたものですが、輸送の際に腐敗したりカビが生えたりするのを防ぐ目的で、食品添加物の防カビ剤(防ばい剤)が使われています。袋に防カビ剤使用と防カビ剤の名前が明記されているのを見かけたことがある方も多いはずです。

 

柑橘類

 

現在、防カビ剤は、OPP(オルトフェニルフェノール)、TBZ(チアベンダゾール)、イマザリルなど、全部で9品目の使用が認められています。いずれも、もともとは農薬として使われていたもので、危険性が高いのです。

当時、日本政府はアメリカとの貿易摩擦問題を抱えており、防カビ剤を元々農薬だとわかっていながら食品添加物として認可したと言われています。1977年4月のことです。

 

防カビ剤の危険性

 

防カビ剤

 

発がん性―OPP

東京都立衛生研究所(現東京都健康安全研究センター)の研究者が、安全性を確認するために動物実験を行いました。OPPを1.25%含むえさをラットに91週間食べさせた結果、83%という高い割合で膀胱がんが発生しました。これは、OPPには発がん性があるということです。

催奇形性-TBZ

東京都立衛生研究所では、マウスに対して体重1kg当たり0.7~2.4gを毎日経口投与するという実験を行いました。その結果、おなかの中の子どもに外表奇形と骨格異常(口蓋裂、脊椎癒着)が認められました。つまり、TBZには催奇形性があることがわかったのです。 

繁殖・行動発達を抑制―イマザリル

イマザリルは動物実験の結果から、神経行動毒性を持ち、繁殖・行動発達を抑制することがわかっています。

厚生労働省は、こうした研究結果を厚生省は受け入れようとしなかったのです。その後も次々に農薬として使われていた化学合成物質を防カビ剤として認可しています。

まず2011年にフルジオキソニルが認可されました。糸状菌に対して制菌作用があるため、防カビ剤としても使用が認められたのです。しかし、マウスに対してフルジオキソニルを0.3%含むえさを18カ月間食べさせた実験では、高い頻度で痙攣が発生し、リンパ腫の発生率が増加しました。

さらに2013年にはピリメタニルが認可されましたが、ラットに対してピリメタニルを0.5%含むえさを2年間食べさせたところ、甲状腺に腫瘍の発生が認められました。つまり、発がん性の疑いがあるということです。

また同じ年にアゾキシストロビンが認可されましたが、ラット64匹にアゾキシストロビンを0.15%含むえさを2年間食べさせたところ、13匹が途中で死亡し、胆管炎や胆管壁肥厚、胆管上皮過形成などが認められました。ちなみに過形成とは、組織の構成成分の数が異常に増えることで、腫瘍性と非腫瘍性があります。

また、2018年になってプロピコナゾールが認可されました。これも、もともとは農薬です。マウス50匹に対して、プロピコナゾールを0.085%含むえさを18カ月間食べさせたところ、12匹に肝細胞腫瘍が認められました。つまり、発がん性の疑いがあるということです。

東京都健康安全研究センターでは、毎年市販されているオレンジ、レモン、グレープフルーツ、ライムなどについて、防カビ剤の検査を行っていますが、果実全体からはOPP、TBZ、イマザリル、ピリメタニル、アゾキシストロビン、フルジオキソニルなどがppmレベルで検出されています。また、それらの防カビ剤は一部の果肉からも検出されているそうです。

通常、オレンジやレモンは透明の袋に入っていることが多く、防カビ剤が使われている場合、袋やそれに貼られたシールにTBZやイマザリルなどの具体名(物質名)が表示されています。

 

国産の柑橘類は防カビ剤不使用 

防カビ剤が使用された柑橘類は、できれば買わないほうが健康・安全のためには良いですね。国産のオレンジやレモンには、通常、防カビ剤は使われていません。輸送にそれほど期間がかからないため、使う必要がないからだと言われています。これからの時期はカビが繁殖しやすい時期なので、防カビ剤を使用していない柑橘類はよりカビが生えやすいとも言えます。冷蔵庫に入れて保存し、早めに食べるように気をつけましょう。

*記事内容はBusiness Journal参照

 

-食・環境問題
-

Copyright© バイオレゾナンスセンター横浜 , 2024 All Rights Reserved.